空き家問題

近年、「親が亡くなった」や「施設に入った」などの理由により実家が空き家になり、放置された空き家が年々増加している状況は社会問題にもなっています。
そのまま放置することは、様々なリスクを招くことになりますので、早めの対策が必要になります。

リスク1 放火や不法侵入などの犯罪が発生する恐れ

管理放棄された空き家は犯罪に利用されやすくなります不審者に簡単に侵入され、犯罪の拠点とされてしまったり、放火や粗大ゴミの放置場所のターゲットにもなりやすくなります。

リスク2 建物老朽化による近隣トラブルの発生

老朽化した建物を放置すると、腐朽や破損が進み朽ち果てて行きます。近隣にそのような住宅があると周辺一帯の景観を損ねるだけではなく、害虫や害獣の住みかとなり、衛生面でも悪影響を与えることになります。

また、倒壊や災害時に屋根が飛ぶなどして周辺の建物や通行人に危害が及んだ場合、所有者がその責任を負わなければならない恐れがあります。

リスク3 資産価値の低下

早い段階で売りに出していれば買い手がついたはずの建物も、建物の傷みや劣化が進むと、その印象は悪くなり、売却価格を大きく下がてしまうことも珍しいことではありません。

また賃貸物件にするとしても、老朽化した建物の修繕には費用がかかります。早期に対応しておけば、修繕費用の削減と早期の収益化ができたかもしれない、機会損失にもなります。

空き家が「特定空き家」に指定されると大変なことに

空き家を何もせずに放置していると、「倒壊の危険」や「著しく不衛生」、「管理不足により景観を損ねている」などの理由で自治体より「特定空き家」に指定されることがあります。(空き家対策特別措置法)

「特定空き家」に指定されると固定資産税の優遇措置が除外となり、家が建っていても更地の状態と認定される為、最大6倍もの固定資産税がのしかかってくることになります。

また、特定空き家に指定されて、自治体より改善の勧告を受けても命令に従わない場合は「行政代執行」が行われます。行政代執行とは、持ち主の代わりに行政が建物の撤去を行うことです。この執行費用はもちろん建物の持ち主に請求されるため、ケースによっては何百万円も請求される可能性があります。

空き家対策

空き家の現状や立地条件によって、さまざまな活用方法が考えられます。
空き家の活用法や補助・助成金など施策に独自に取り組んでいる自治体もありますので、一度空き家の所在自治体に相談されてみることも有効だと思います。

対策1. 売却する

「遠方で維持管理は無理」や「管理の煩わしさから解放されたい」という理由で、売却が望む方は多いです。建物の管理状態によって、「一戸建て住宅として販売」「古家付き土地として販売」「解体して更地として販売」などの選択肢があります。立地エリアによって物件のニーズも変わってくるので、不動産会社に最適な販売形態を相談してみてください。

対策2. 貸駐車場又は賃貸住宅にする

立地エリアが交通や買い物に便利だったりした場合、貸駐車場や賃貸住宅として貸し出せる可能性があります。収益化することで固定資産税を賄えたり、子孫に資産として残してあげることも可能になります。

対策3. 空き家バンク・空き家管理サービスを利用する

郊外にある空き家の場合だと買い手が容易に見つからない場合があります。その場合、空き家バンクや空き家管理サービスを利用してみるのも手だと思います。

空き家バンクは各自治体が主体となって運営されている空き家情報サービスです。空き家を売りたい人や貸したい人から空き家登録を受け、買いたい人や借りたい人向けに、市区町村役場のホームページなどで空き家情報を掲載しています。登録には空き家の所在自治体へ直接申請が必要になります。

また、空き家を手放したくないけど管理は面倒、という場合は、民間企業が行っている空き家管理サービスを利用する方法もあります。サービス費用はかかりますが、室内からお庭まで様々な掃除や点検などをしてくれ、空き家の著しい劣化を防ぐことができるのは安心です。

対策4. 相続放棄をする(国庫へ帰納する)

相続する家屋は上3つの対策どれも難しいので相続放棄をしたいと考えている方もいるかと思います。

しかし、不要な財産だけ放棄するということが許されていない為、放棄の場合はすべての相続財産を放棄する必要があります。

また、既に所有している不動産を放棄する手段は、残念ながら今のところありません。

ただし、2023年4月から「相続土地国庫帰属制度」がスタートします。
こちらは「相続した空き家を国が引き取りますよ」という制度ですが、なかなか厳しい条件で、活用が難しい土地の場合、この制度の利用はほとんど無理かもしれません。

詳しい相続土地国庫帰属制度はこちらをご参照ください。
法務省:相続土地国庫帰属制度の概要 (moj.go.jp)

まずは、何か活用方法がないかを不動産会社に相談してみてください。

対策方法をご提案いたします

空き家の放置はたくさんのリスクや機会損失が発生します。

相続をする側(現在の所有者)も、相続後に生じるかもしれないリスクを事前に解決しておくことが遺される家族の安心に繋がります。

Be-R合同事務所では行政書士事務所も併設しておりますので、生前対策から亡くなった後の相続手続きまでお手伝いが可能です(いずみ相続相談室

住人がいなくなるご自宅を安心してご相続人へお引き渡しできるよう、ご提案もしておりますのでお気軽にご相談ください。